人格尊厳委員会 シリーズ 「ハラスメントの境目」
「はじめに」
人格尊厳委員 大杉 至(伊那聖書教会牧師)
教団ではセクハラ相談窓口を設置し、セクハラの相談と対応に取り組んでおります。合わせて、セクハラを起こさないための防止啓発も行っております。
残念ながら、教会においてセクハラに限らずパワハラ(パワー・ハラスメント)も起こることがあります。パワハラへの対応を求める声が教団内からもあがっております。セクハラとパワハラは重なり合うことが多く、包括的なハラスメント対策が必要であると考えられます。
委員会では、包括的なハラスメントの相談窓口設置について検討してきました。その中で「指導とハラスメントの境目がわかりにくい」という声や「指導がハラスメントとされかねないと萎縮して指導が行われなくなるのではないか」という声があることを認識しております。
そうした疑問や不安の声に応えるために「ハラスメントの境目」を9回シリーズで本誌で取り上げる予定です。具体例を挙げてハラスメントに当たる当たらないの境目を解説することで、ハラスメントに対する理解人格尊厳委員会が進み、判断の参考にしていただけるものと考えております。ハラスメントに対する理解が進むことで防止対策にもなると期待しております。
委員会では、ハラスメントを「他者の人格の尊厳を侵害することであり、合理性や妥当性を欠いた不当な行為によって、不利益や身体的又は精神的苦痛を与えること」として定義できるものと現在考えております。ここにハラスメントの判断基準を示してあります。
ある行為について、その目的は正しいものか。手続きが必要な場合は、正しい手続きに則っているか。その行為の手段は目的に見合ったものか。不釣り合いな行為をしていないか。妥当な範囲を超えていないか。暴言や脅しや人格否定発言がないか。これらを踏まえて判断します。
ハラスメント問題の本質は人格尊厳問題です。互いの人格が尊重され、安心して集える教会でありたいものです。