2024年10月4日
3月11日で東日本大震災から8年を迎えようとするこの時に、『東日本大震災復興支援活動記録集』が刊行されました。2015年3月で復興支援本部の働きが閉じられた時に残された課題が、記録集の編纂でした。その課題を果たすべく編集の実務作業を担ってくださった宗田信一総主事、河野優法人事務主事のお働きに感謝いたします。
3・11以前にもそれ以後にも大きな災害がある中で、この出来事を記録するのはなぜか。この点については廣瀬薫理事長が「まえがき『体験、記録、そして追体験へ』」に意義深い文章を書いてくださっています。私の手許にはいくつかの教団教派、団体の記録や資料集がありますが、今回の記録集も含め、これらを読んでの感想は「語り得ぬことを語る」ということでした。この出来事について語るにふさわしいのは誰なのか、これもまた大きな問いです。
支援活動に従事する中で幾度も手にした本に宮地尚子『環状島=トラウマの地政学』(みすず書房、2007年)があります。そこで著者は「災害の一番の当事者は語ることができない」と言います。一番の当事者はいのちが奪い取られてしまっているからです。誰かがそれに代わって書き残さなければならない。そういう作業があるのだと教えられたのでした。8年という月日が経つ一方で、いまだ震災の影響が続く中、改めて震災を考えるきっかけとなる一冊です。まずは諸教会に一冊ずつ届けられると聞いています。教会の書架に眠らせず、ぜひ皆さんでお読みいただきたいと思います。