指導とハラスメントの境目がわかりにくいという声に応えてシリーズでお伝えしています。
第二回は「茶髪禁止指導」を取り上げます。茶髪(染髪)を始め髪型や服装は個人の人格と自由に関する事柄ですから、不当に制限すべきではありません。では次の場合はどうでしょうか。
仮想事例「教会の伝統と対人的な影響を理由に、主任牧師が新人伝道師に茶髪(染髪)をやめるように指導した。」これはハラスメントには当たりません。教職者や教会職員の髪型や服装等について、その職務における対人的な影響を考慮して、円滑な運営上必要かつ妥当な範囲で一定の制限を設けることは必ずしも不当とは言えません。ただし人格の本質にかかわるもの(先天的、医学的な理由等)については制限してはなりません。
個別の事柄として、茶髪が妥当かどうかは、個々の教会の伝統や雰囲気によって異なります。全教会一律に「茶髪はよい」「茶髪はだめ」とは言えません。
教職者や教会職員の髪型や服装等に関して規則や指針を定めている教会は少ないと思われます。もし本当に茶髪を禁ずるならば、予め規則や指針を定め、就任前に「この教会では茶髪は禁止です」と伝え、合意を得ておくのが望ましいです。
もし主任牧師自身や他の教職者の茶髪は許されているにもかかわらず、当人にだけ茶髪を禁じたのであれば、一貫性のない不当な指導としてハラスメントとされる可能性があります。
ここまでは教職者や教会職員の髪型や服装などに対する指導でしたが、信徒に対する指導はどう考えればよいでしょうか。職員ではないので、職務上の理由で指導はできません。できるとすれば、例えば公同の礼拝の妨げにならないような常識的なものにするように指導することかと思います。この場合も何が常識かは教会の伝統や雰囲気によって異なります。
互いの人格が尊重され、安心して集える教会でありたいものです。