「あなたがたのうちのだれかが羊を百匹持っていて、そのうちの一匹をなくしたら、その人は九十九匹を野に残して、いなくなった一匹を見つけるまで捜し歩かないでしょうか」(ルカ15章4節)
羊の持ち主、あるいは羊飼いは、どこかにいなくなってしまった一匹を捜し歩いて、ついに見つけると、「喜んで羊を肩に担いで家に戻ります。その喜びは私たちの常識を超えるようなもので、「友だちや近所の人たちを呼び集め」ては、きっと
宴会でも開いて「一緒に喜んでください」と招くのです。そのくらい、「一人の罪人が悔い改める」ことは「大きな喜びが天にある」ということです。これは、私たちを指している「一人」というものが神の前ではどれほど大切で大きいのかということがよくわかるたとえです。
一人ひとりを大切にするということは、私たちの生きているどの場所においても大切なことだと思います。そして、そのためにさまざまな努力が家庭でも学校でも職場でも続けられています。でも、実際にそれを貫こうとするとどうしても多くの壁に阻まれてしまうというのが、真剣に考えて行動しようする人に、のしかかってくる現実ではないかと思います。
それでもこれほどに一人の救いを喜ばれるイエスさまを目指して生きている私たちは、同じような喜びを求めていくことを続けていきたいと思います。それは、たとえば教会において次世代の宣教や育成ということの中でも問われていることだと思います。
私たちの教団が掲げてきた「ミッションテモテ21」という次世代宣教のコンセプトは、「一人ひとりを愛し、大切にする教会」を形成していくことです。そして最もその一人への集中を問われる世代が、中学生と高校生なのです。
同盟基督教団の教会学校の生徒数は約2100人ですから、単純に計算すると一学年が110人になります。そしてクリスチャン家庭からの受洗者数は昨年116人でした。大体が6年生前後で洗礼を受けていると考えるなら、驚くべき数字です。幼児から小学生を洗礼までどれほど教会が大切にしてきたのかがよくわかります。ですから、おおざっぱに言ってクリスチャン家庭の子どもたちは、ほとんどが洗礼へと導かれているわけです。その数は毎年100人を超えます。10年間ごとの合計(統計のある約30年間から計算)では常に1000人以上が洗礼を受けているわけです。
しかし、一方では厳しい現実があります。中学生になってからの教会学校への出席率は、激減して高校生なるころには礼拝への出席も減少し、さらに学生になって所属教会の移動などとともに教会生活から離れていく現象は、ほとんどの教会が経験していることです。教会に若い人がいない背景には、洗礼を受けている1000人の青年の半分以上が教会から離れている現実があり、このことと向かい合うことが、次世代宣教の一歩なのです。つまり、中高生一人ひとりを喜ぶ教会を作っていくことで、次世代宣教は大きく羽ばたけるのです。
フロンティア2019は、これまでより大きな規模での大会を準備しています。しかし、これまでと同じように、原点は一人ひとりに届いていく努力を惜しまないことです。今回は中学生も参加できるように準備をしていますが、スタッフはキャンプなどで中高生と深いコミュニケーションを積み上げてきた人たちです。それは、小学生のスタッフにも言えることです。そして、青年層を担当するスタッフもできる限り一人ひとりの状況を拾いながら、その必要に寄り添っていこうとミーティングを重ね、現場での対応にも備えています。
また、参加の呼びかけもスタッフの持っている中高生、青年とのネットワークやコンタクトを通して、一人ひとりに声をかけてきました。
教団の皆さまには、羊飼いの喜びが分かち合えるフロンティアとなるよう祈っていただければ幸いです。