教団では、毎年、広域災害に備えて全教会一斉の防災訓練を実施しております。今年は、「リアル訓練パート5」というテーマで、11月14日の正午から行います。昨年と同じくコロナ禍のことですので、避難所への移動は難しいかと思います。そこで地震や津波、集中豪雨など、教会独自に予想される災害を想定した訓練になります。
東日本大震災が発生したとき、被災地の人々の生活は一変してしまいました。それから10年の時を経て、今は世界的なコロナウイルスの感染拡大により、社会全体が大きく変わろうとしています。既に各教会においては、集会のあり方を変更するなど様々な対策がなされていることと思います。そのためには、確かな情報と危機意識をもった行動が不可欠です。けれども慣れによって優先度が引き下げられると、そうした歯止めがききません。政府の感染対策分科会の尾身茂会長は、「社会全体で危機感が共有されないことが最大の危機」と言っています。
このことは自然災害についても言えることです。毎年、防災訓練を行う意味もそこにあります。昨年回収されたアンケートでは、約半数の教会が防災訓練を実施しています。多くの教会の参加があることは感謝なことですが、まだまだ十分な状態ではありません。基本的なこととしては、身を守ることの訓練の徹底をお願いします。この部分は毎年繰り返してきたことですが、昨年もガラス窓とか非常口など新たに改善が必要とされる箇所がみつかったケースが複数ありました。特に高齢者や障がい者への対応の面では、個別に検討を継続していく必要があるでしょう。そうした中で浮かび上がった課題を皆で話し合い、次回につなげたという報告が聞けたのは感謝でした。このように訓練がマンネリ化するのではなく、経験を積み重ねることでスキルアップしていけるようにと願っています。
危機に備えることは、日常を点検することでもあります。ノアが箱舟を建設していた間、人々はその警告を無視していました。そして箱舟が完成すると、「主は彼のうしろの戸を閉ざされた」(創世記7章16節)とあります。キリスト者の希望は主イエスの内にありますが、この時代に起きる自然災害などの危機に備えておくというのが、信仰者のとるべき態度ではないでしょうか。
今後30年以内に、日本列島は高い確率で大地震が発生すると言われています。訓練でできないことは、実際の状況においては対応することはできません。そうしたときのことを予測し、備えてくださるようお願いします。