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日本同盟基督教団 教団事務所 

新式文の解説② 聖礼典―洗礼と聖餐―

新式文の解説②
聖礼典―洗礼と聖餐―
式文委員 青木義紀(和泉福音教会牧師)

今回の新式文作成にあたり、聖礼典に関して心掛けたことは主に次の3点です。①現行式文の長所を継承しつつ、その不足部分を補うこと。②神学的な理解を踏まえ、聖礼典がもつ豊かさを反映させること。③教会の現場の必要に広く応えるものであること。これらを踏まえて、現行式文にはなかった訪問洗礼、訪問聖餐、幼児洗礼、信仰告白式などを盛り込むことにしました。

1 訪問洗礼・訪問聖餐
訪問洗礼や訪問聖餐は、すでに教会の現場で実際に行われていたことですが、これまでは現行式文を牧師がそれぞれにアレンジして使用する以外に方法はありませんでした。長い経験を積んだ牧師なら、そのような対応に困難はありませんが、若い牧師や経験のない牧師にとっては戸惑うばかりで、実際に訪問洗礼や訪問聖餐の式文の必要を訴える声は多数上がっていました。

2 幼児洗礼
幼児洗礼に関しては、神学的に様々な意見があり、教団内でも賛否両論だと思います。しかし実際に、幼児洗礼を行っている教会が存在し、そのような教会に赴任した教師から必要を訴える声がありました。今回の新式文に幼児洗礼を盛り込んだ理由は、広く現場の必要に応えるという1点から行われたもので、神学的に幼児洗礼容認の立場に立つわけでも、幼児洗礼の執行を求めるものでもありません。現場の教会においては、それぞれの立場をこれまで通り踏襲していただければと思います。

3 信仰告白式
信仰告白式は、幼児洗礼を受けた者が成長し、自覚的信仰を持った時にそれを言い表すものです。これによって告白者は、陪餐資格や教会総会議員の資格等を得て、教会員としての十全な権利と義務を有することになります。
しばしば、他教会で幼児洗礼を受けた者が、同盟基督教団の教会で信仰生活を送り、自覚的信仰を持った場合にどのような対応をしたらよいか戸惑うケースが見受けられました。そのような現場の必要に応えて、信仰告白式の式文を掲載することにしました。

4 今回の洗礼式文の特徴
紙幅の制約上、特徴のすべてに言及できませんが、主要な点に言及します。第1に、序言を設け、そもそも「聖礼典とは何か」という基本的な理解を明らかにしました。これによって正しい理解に基づく聖礼典の執行と受領ができるよう配慮しました。
第2に、式辞の中で、洗礼が私たちにもたらす保証を幅広く列挙するようにしました。また受洗者への励ましの意図を加え、式辞が単に洗礼の解説で終わらず、受洗者への生きる指針と活力をもたらすよう配慮しました。
第3に誓約ですが、従来の5項目から6項目に増やしました。大きな変化は次の2点。①第2項目に罪の自覚を問う項目を加えたことです。罪の自覚を明確にすることで、キリストの救いの恵みの大きさを浮き彫りにする意図が込められています。②従来、キリストに対する信仰を問う問いでは、「すでに救われていること」を「確信すること」が問われていましたが、新式文では端的に「キリストを信じる」問いにしました。
ほかにも祈りの言葉を豊かにし、受洗によって神の民の一員となったことの宣言を盛り込み、受洗者への奨励と会衆への勧告の言葉を加えて、受洗後の教会生活を促すよう配慮しました。

5 今回の聖餐式文の特徴
聖餐の方は、洗礼ほど大きな変化はありませんが、十分な理解をもって聖餐の恵みにあずかれるよう配慮しました。
第1に、洗礼同様、序言を設けて、聖礼典そのものの理解を明らかにしました。
第2に、式辞の言葉を「説明」と「招き」に区別し、前者では聖餐の意味と効力を幅広く提示するようにし、後者では様々な状況や立場の人を考慮し、それぞれにふさわしい招きを提示するようにしました。
第3に、聖餐を執行する牧師の便宜を図って、その時々の所作や注意事項を付すことにしました。

むすびにかえて
従来プロテスタント教会においては、みことばの説教に力点が置かれ、その重要性が理解されてきたように思いますが、それに比べると聖礼典は、軽んじられてきたわけでありませんが、十分に理解され効力を発揮してきたとは言い難い部分があったように思います。新式文が、このような欠けを補うものとなり、それによって福音がますます広く、そして深く、この世界に浸透していくことを願っています。

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