「聖霊と私たちは、次の必要なことのほかには、あなたがたに、それ以上のどんな重荷も負わせないことを決めました。」(使徒15章28節)
最初の教会会議エルサレム会議についての記録で、たびたび引用される聖句です。一方、多数決をしたのか、だれかの意見が全体に受け入れられたのかなど手続きは記録されていません。しかし「聖霊と私たちは」とあるので、参加者の利害の一致ではない、主の教会としての信仰的一致を得たのは確かでしょう。
では私たちの教団総会はどうでしょうか。教憲では「教団総会は、本教団の意思を定める最上位の意思決定機関である」(教憲第5条)と定めています。私たちも聖霊の導きを祈りながら総会を進め、信仰的一致をもって結論を出します。その手続きは『総会議事運営規程』に定められていて、最終的には「表決」によって意思決定を行います。この総会での表決に際して知ってほしい具体的なことを、今回はご紹介します。それは「①修正動議」(運営規程第7条)と「②付帯決議」(運営規程第10条)です。
総会では毎回、「事業報告の件」や「事業計画審議の件」が議案として理事会から提出されます。これらの議案には活動報告や計画が1年分まとめられていて、その内容量がとても多いのです。しかも宣教区や教会に直接関係するものなので、議員からの質疑や意見も多く出されます。また議決の実施については、各部・委員会に様々な配慮を求めたくなるものです。
しかしここでぶつかるのが表決の限界。表決には「可」と「否」しかないことです。意見や要望は多いけれど、可否で表すしかないもどかしさ。この落差を埋める方法が、今回ご理解いただきたい修正動議と付帯決議です。
①修正動議 特に計画や予算については、議案内容を一部変更する方が良いと考える場合があるでしょう。その場合、議員が自分の思いを発言するだけでは変更されません。どうすればよいのでしょうか。修正動議を提出して総会として修正案を可決し議案を修正することです。これによって、最終的な表決に「最上位の意思決定機関」としての意思が反映されることになります。
②付帯決議 修正動議を提出するほどではないけれど、総会議決を実施するときには「このような配慮を願う」という要望を総会として決議して付けるのが付帯決議です。よくあることですが、一議員が「要望! 理事会はこのような点を考えてください」などの発言をすることがあります。それが一議員としての切実な思いであることは確かですが、一方に異なる意見もあります。また、教団全体の事業について、少数の要望を勘案して実施することには無理があります。そこで、必要な要望や微妙な意向は付帯決議で総会の意思を表します。こうすると単なる「可」に留まらず、教団総会としての意向を議決に反映することができます。
以上、修正動議と付帯決議について記しました。
ここ3年間、教団総会は感染症への対応のために期日の短縮をしてきました。審議時間が短く、質疑、討論においても十分に時間を割くことができませんでした。その影響からか、質疑も討論もない表決が散見されました。改めて教団総会が機能を十分に果たすためには、総会の意思をその表決により良く反映させることが必要です。修正動議と付帯決議を積極的に運用することで、「最上位の意思決定機関」としての教団総会がその機能を発揮することができる。議員にはこれらのことを理解して総会に臨んでいただきたいと願っています。
従前に比較しますと今年度の総会も1泊2日と短縮日程ですが、総会議長の下で活発な審議がなされ、みこころが確認される会議であることを願っています。