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日本同盟基督教団 教団事務所 

教会総会での合議制 ―話し合いと会議の違い― 常任書記 藤田敦

教会総会での合議制 ―話し合いと会議の違い―
常任書記 藤田敦(北総大地キリスト教会牧師)

「アサフの賛歌。神は 神の会議の中に立ち 神々のただ中でさばきを下す。神よ 立ち上がって 地をさばいてください。あなたが すべての国々を ご自分のものとしておられるからです。」詩篇82篇1〜8節(抜粋)

2023年3月第74回教団総会・議事冒頭の様子から。議長「それでは、第1号議案『2022年度事業報告の件』について審議します」「質疑に入ります。質疑ありませんか」。議員(シーン)。議長「質疑なしと認め、質疑を終結します」「討論に入ります。討論ありませんか」。議員(シーン)。議長「発言なしと認め、討論を終結します」「それでは表決を行います」。議員挙手(賛成多数だがシーン)。議長「第1号議案は可決承認されました」。
総会資料では1年間の報告57ページ。理事会議事録をはじめ16宣教区、6局29部門にわたる部委員会の活動報告全部を可決するまでに要した時間は、わずか3分ほど。理事会が完璧な議案を出したので質疑も討論もなし、ならば良いのですが、実際には突然始まった議事に議員の心が準備できていない、そんなふうにも感じられました。人と「話し合い」をするときは雑談をしてからおもむろに話しに入りますが、それらを一切抜きに「会議」が始まって、あれよあれよという間に議決された感じでした。
この例でお伝えしたいのは、普段私たちが多く行っている「話し合い」と、教団総会などの「会議」との違いです。これが分かっていないと突然始まる議事進行に戸惑います。話し合いの目的は「考えを持ち寄ってより良い内容を相、談、し、て、作、る、こ、と、」ですが、会議の目的は「議案提出者が良い内容だと考えてきたことについて最、終、的、な、判、断、を、す、る、こ、と、」なのです。
教団総会は次のように進みます。議題の宣告→提案説明→質疑→討論→表決。簡単に言うと1本道。議題の宣告で議長が、これから〇〇について『はい』か『いいえ』のどちらにするかをこの会議で決断しますねと宣言したら、最後の表決まで1本道です。(修正案の提出はありますが、ここでは省略します。)
特にその途中にある質疑(分からないことを議案提出者の理事会に質す)、討論(反対か賛成かをはっきりさせて自分の意見に与する人を増やす)、ここで議員が発言しない限り、内容を深く理解すること、正しく判断することはできません。
さて、この「話し合い」と「会議」の性質の違いは、同盟基督教団の三本柱の1つ「合議制」にも表れます。私たちは合議制によって政治を行い、参加する者全員が基本的に平等だという伝統を堅持してきました。その上での大切な理解として、合議制には「合議性質」と「合議制度」の両方があるとしてきました。合議性質とは「合議の精神」で事柄を決めていくこと、右の例では「話し合い」。合議制度とは「教憲教規の定めるところに従ってふさわしい形態」をとること、右の例では「教団総会」です。
教団総会は制度としての形態が大切にされる場面です。その理解をもって臨まないと、「話し合いかなあ」「前振りはあるのかなあ」などと思っている間に議事はどんどん進み、冒頭のような状態になってしまいます。「神は 神の会議の中に立ち 神々のただ中でさばきを下す。」アサフは賛美で、神が神の会議の中に立って「裁き(正しい判決を下すこと)」を宣言し、「地をさばいてください」と祈ります。その根拠は、「あなたが すべての国々を ご自分のものとしておられるから」。つまり、神のご支配があらゆるところに行き渡っているからです。
第75回教団総会においても、教団のあらゆるところに神のご支配がいきわたっていることを信じ、召された議員が用いられ、私たちの信仰告白の表れである教憲教規、議事運営規程等に従って議事が適切になされ、正しい判断が下されることを祈ります。

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