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日本同盟基督教団 教団事務所 

主の平安と希望のために 佐野泰道

主の平安と希望のために

佐野泰道(霞ヶ関キリスト教会牧師)

「まことに、主はこう言われる。『バビロンに七十年が満ちるころ、わたしはあなたがたを顧み、あなたがたにいつくしみの約束を果たして、あなたがたをこの場所に帰らせる。わたし自身、あなたがたのために立てている計画をよく知っている─主のことば─。それはわざわいではなく平安を与える計画であり、あなたがたに将来と希望を与えるためのものだ。」(エレミヤ29章10〜11節)

これは、私たちの教会で今年の元旦礼拝で読まれたみことばです。その数時間後に、能登半島地震が起きるとは夢にも思っていませんでした。
預言者エレミヤが神さまからこの言葉を受け取った時、イスラエルの国はバビロン帝国によって2度の敗戦を経験していました。すでに捕囚の民としてバビロンに移された人々もいました。しかし、この時はまだエルサレム神殿が残っていました。偽預言者たちは声高にバビロンの敗北とイスラエルの勝利を語っていました(28章2〜4節)。誰もが主による逆転勝利を願っていました。
そんな中、エレミヤはバビロンに移された人々に宛てて手紙を書き、みことばを伝えました。
バビロンでの生活が70年であること、主は必ずイスラエルの民をエルサレムに帰れるようにしてくださるという約束でした。
手紙を読んだ人々は、失望し悲しんだのではないかと想像します。バビロンでの生活に終わりがあるとは言え、70年という年月は短くありません。人々はすぐにエルサレムに帰ることを願っていたのです。
しかし主は、約束を果たされるお方です。70年の満ちるころ、主はエレミヤによって告げられたみことばを成就するために、ペルシア帝国のキュロス王を通してエルサレム再建計画を始めてくださいました(エズラ1章1〜2節)。
4月初旬、JEA(日本福音同盟)の働きで能登を訪れました。内灘から七尾、輪島を回り、翌日には羽咋、志賀町、門前へ、翌々日には能登町、珠洲に足を伸ばしました。それぞれの地に建てられた教会を慰問し、震災当時の話を伺い、JEAからのお見舞いを届けました。
私は今回の訪問を通して、主がすでにこの地に入っておられ、この地の人々に主の平安と希望を与えるために働いておられるということを気付かされました。能登の諸教会を訪れてみると、そこには支援につながる主の備えがいくつもありました。
たとえば、能登に入る主要幹線道路である「のと里山海道」の入口に内灘聖書教会があり、発災当初から今に至るまで支援活動の拠点として用いられていること。また、「石川県放送伝道協力会」という宣教協力の働きが母体となって、「能登ヘルプ」が結成されたこと。輪島や門前などでは、その地に遣わされていた牧師や宣教師たちの存在や働きが用いられて、被災された方々のニーズに寄り添う支援活動が展開されていること。
主は、エルサレム再建のために大勢の人々をお用いになりました。その途中には困難があり、妨害や中断もありました。けれども、主が乗り越えさせてくださいました。
復興までの道のりを思う時、まだまだこれから、先の長い支援が必要になると思われます。しかし私たちは、先に立って進まれる主の御声を聞きながら、主の平和を届ける働きをしていきたいと思わされます。能登だけでなく、今も復興の途上にあるそれぞれの地の人々を忘れずに祈り続ける。ささげものやボランティアの働きを通して、具体的な宣教協力をする。
主の御手の中でそれぞれの取り組みが組み合わされて、主の平和と希望につながっていくと信じます。

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