この記念誌を入手したのは昨年の教団の秋の研修会です。伝道部のY先生の熱意あふれる宣伝に押され、その場で若手教職の何人かと一緒に購入しました。しかし実際に本誌を開いたのは今年4月、私の伝道部配属が決まってからのこと。伝道部員になったからにはと、半年ぶりに書棚から記念誌を取り出して読み始めたところ、その「面白さ」にあっという間に引き込まれました。
本誌冒頭のあいさつの中で、広瀨薫伝道部長( 当時)は次のように書いておられます。「資料・原稿により振り返る25年史は、宣教の戦いの歴史であり、献身の歴史であり、感謝と賛美の歴史であると感じました」。そこで以下に、「戦い」「献身」「感謝と賛美」という項目で印象に残った点を紹介します。
まずは「戦い」。いくつかの教会では、開拓開始から数週間、数ヶ月間は牧師家族だけの礼拝をもちました。開拓第7号の新札幌聖書教会のレポートには、「最初の礼拝は涙の1時間であった」とあります。また開拓第1号の高崎開拓は「5年ほどの短期勝負で教会形成」する覚悟で始められ、遣わされた満丸信昭師にとっては「苦しい経験であったと推測される」とあります。この経験から、以後の開拓は支援期間を10年として始められるようになりました。先人の「戦い」のおかげで現在の体制があることを教えられます。
次に「献身」。開拓第1号の高崎福音キリスト教会では、2回目、3回目の礼拝から教会運営に関する信徒との話し合いがなされ、運営委員会まで立ち上げられました。驚異的なスピードです。信徒の方々の「献身」に心打たれます。開拓第8号の福岡めぐみ教会のレポートには、牧師子弟3人の証が掲載されています。開拓の背後にある牧師家族の「献身」を思わされます。
最後に「感謝と賛美」。これは25年間で開拓された10の教会がいずれも教会として立ち続けている点に集約されるでしょう。ただ本誌の良いところは、いずれのレポートも単なる「美談」で終わっていないことです。反省すべき点は反省し、今後の新規開拓への提言がなされています。その意味で、本誌は単なる過去の振り返りに留まらず、将来に向かっていく通過点としての「記念誌」です。その証として、本誌発行から11年間で、新たに6の教団レベル開拓、10の宣教区レベル開拓が開始されています。
2027年には教団レベル開拓が50周年を迎えます。開拓の過去・現在・将来を知るためにも、本誌は必読の書です。