能登半島地震から1年が経過をし、未だ住み慣れた自宅へ帰ることが叶わない方や、行方不明の方々がおられることに、主の平安があるよう祈ります。
思い返すと2024年1月1日、私は出勤日でした。能登半島での地震発生から数時間後、京都府にも出動要請があり、そのまま能登半島へ向けて深夜の災害派遣となりました。改めて事前に予想が困難な自然災害の猛威と、寒い環境での活動のし辛さを肌で感じる経験をさせていただきました。
このような災害に対して、私たちはどのように平時から備える必要があるのでしょうか?
準備の重要性を考えるにあたり「パニックの研究」を紹介します。
これは人が緊急事態や重圧のかかる状況下に置かれると、70%の人はパニックに陥る。15%の人はパニックに陥り、さらに思考や行動が停止する。残りの15%の人はパニックにならない。という理論です。
私は焦りやすい人間ですから、しっかりと70%の中に分類をされます。緊張感や重圧のかかる状況で「自分は焦るとどうなるか?」把握をします。焦りの原因に事前対策をする事によって、いわゆる「メタ認知」の状態を作りパニックを意識的に防いでいるという準備です。
この意識的な準備を防災に当てはめると何が見えてくるでしょうか。
① 地域特性を把握する
皆さんのお住まいの地域や、教会のある地域はどのような環境でしょうか。地形や自然環境、住宅地から工場地帯まで様々です。この特性は自治体が発表をしているハザードマップで確認することができます。
② 避難場所の確認と備蓄品の準備
ハザードマップから避難経路と避難場所の把握ができれば、3日間生き延びる事のできる準備が次に必要です。大規模災害時には、日常のインフラと行政サービスが全て停止します。3日間あれば全国から支援が集結できるとされているため、「自助」で3日間を耐える必要があります。インターネット等で紹介される備蓄品は一般論ですから、防災の備えには個別のオーダーメイドが必要です。1つの目安として、「Need」と「Want」を整理します。
「Need」は無くては生きられない物、例えば飲食物や常備薬、衛生用品を指します。
「Want」はあれば便利な物です。
家族構成や持病、避難場所や季節によって大きく変化をします。自分に必要な最小備蓄品は何か?ぜひ考えるきっかけにしていただきたいと思います。
③ 地域コミュニティを知る
お住まいの地域や、教会に集う方々で助け合う「共助」も重要です。自宅には備蓄を準備していたが職場で被災をした。そんな事も大いに考えられます。被災時は近くにいる方々と協力をして、助け合えるコミュニティを築いておく事も大切な準備の1つです。
最後になりましたが、私たちクリスチャンにとっての防災とは何でしょうか?
それは使徒20章35節「受けるよりも与えるほうが幸いである」とあるように、私たちが災害に備え準備をすることで、災害時の救いの手を自分ではない、隣人に優先的に使ってもらうことができることです。これは自分よりも厳しい状況におかれた方々を、間接的に助けることにつながります。備えや被災後の働きを通して、恵みを受ける喜びを知った私たちが、隣人や地域の必要のために仕える働きを表す事につながるのではないでしょうか。