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日本同盟基督教団 教団事務所 

「教会と国家」委員会 2024 秋のオンラインセミナー 報告

「教会と国家」委員会

2024 秋のオンラインセミナー 報告

「教会と国家」委員会委員 小林伊佐美(椎名町教会 牧師)

 

2024年秋のオンラインセミナーは11月29日午後8時から、茨木聖書教会で開催され、Zoomで配信されました。今回、Peatixによる申し込みは61名でした。
講師は、茨木聖書教会副牧師であられるハレファ・スルヤ牧師でした。スルヤ師は、オランダの神学者アブラハム・カイパーの研究者であられ、過去に①「有機的教会」、②「共通恩恵論」、について講演され、今回の秋のオンラインセミナーでは、「クリスチャンとして公共の場でどう生きるか」とのテーマで、10月11日の講演③「カイパーの領域主権論から考える」に続き、今回④「カイパーの宗教的反定立論から考える」と題して講演がなされました。
講演は4回開催されましたが、今後もスルヤ師から、カイパーから学ぶ機会を提供していただきたいと強く願うものです。
さて、講演は、講演題にある「反定立」という、聞き慣れないことばについての説明から始められました。「反定立」は、「定立」に対する関係であり、「アンチテーゼ」と「テーゼ」の関係です。「テーゼ」と「アンチテーゼ」の関係を聖書の中から紹介されました。創世記、「食べて良い」と「食べてはならない」、「必ず死ぬ」と「決して死なない」、「女の子孫」と「蛇の子孫」、「アベル」と「カイン」、「セツの子孫」と「カインの子孫」、「ノア」と「悪に傾く地上の人々」、「イスラエル」と「異邦人の国民」、「聖徒たち」と「正しくない人たち」、マタイの福音書10章、「麦」と「毒麦」など。あらゆる面に定立と反定立があり、両者は対立する関係にあり、分離する、分離させるのですが、両者は「共通恩恵」の中にあり、「クリスチャン」と「クリスチャンでない人」は協力、共働するのでもあると語られました。「クリスチャン」は新生していますが、罪を犯さない訳ではないこと、聖書は正しいのですが、「クリスチャン」の判断、理解、解釈が正しいと決めつけるのは注意が必要であり、そして「クリスチャンでない人」は悪と決めつけること、「クリスチャンでない人」の考え、働きを否定してはならないこと、「クリスチャンでない人」から学ぶ事もたくさんあることも教えられました。キリスト者は聖書の理解を深め、共通恩恵を大切にしつつ、共同体として宗教的反定立を見極め、神の栄光を現す必要性を強く語りかけてくださいました。とても有意義な講演でした。

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