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日本同盟基督教団 教団事務所 

人格尊厳委員会 「ハラスメントによる心身への影響」

「ハラスメントによる心身への影響」
人格尊厳委員 櫻木 園子(京都めぐみ教会員・医師)

 

ハラスメントを受けると、私たちの身体にどのようなことが起きるのでしょうか。
当然本人にとってストレスとなります。ストレスとは、「心身に外部からの力が加わった時に生じる緊張状態」を指します。その時には、自律神経などの働きが「戦闘モード」に入ります。交感神経系の働きが優位になって筋肉への血流を増やし、汗をかいてたくさん動けるようにします。瞳孔を開いて周囲の情報を取り入れて状況判断しやすくします。食べ物を消化吸収する、体を休めるなど、戦いに必要のない副交感神経の働きは抑えられます。心理面では緊張感を高めて戦いに集中し、戦う気持ちが強くなります。
草原でライオンに出くわすような「戦闘モード」は戦って勝つか、走りきって逃げおおせるか、負けて食べられるかのいずれかで恐らく数分以内に終わりますが、現代社会のストレスは長期にわたります。ハラスメントも「一度不適切な言動があった」ということより、その人間関係が継続することによる長期にわたるストレスと言えます。戦闘モードの心身の反応が長期間続くことによって、交感神経の働きが亢進し続けて血圧が上がる、不整脈が起きるなどの症状が出ることがあります。副交感神経の働きが抑えられると胃腸の働きが弱くなり食欲不振や胃の痛み、下痢や便秘などの障害が起こることがあります。緊張が続くことでイライラしやすくなったり、疲れを感じたり、不眠症やうつ状態になることもあります。
ハラスメントに限らず、長期のストレス状態によって不眠症状(寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝早く目が覚めて眠れない、熟睡できない、のいずれか)が2週間以上続く場合は、医療機関の受診をお勧めします。
時々「気持ちが落ち込むのは信仰が弱いから」という方がいますが、気持ちの変化は神さまに造られた人としての反応です。薬を飲むことに抵抗を感じる方もいますが、神さまの支配のもとでの医療の発展です。神さまの助けを素直に受け入れましょう。

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