ある時、1人の姉妹が声をかけてきました。「先生、大丈夫ですよ。教会堂のない時代に、町の公会堂が借りられない時があって、あの川の橋下で礼拝して、『須坂ホームレス教会』なんて言われて…」と、笑みを浮かべて話し、赴任当初の小心牧師を励ましてくれました。その後も度々、当教会の風変わりな別称を自嘲気味に語る方がいて、その度に気が楽になりました。教会の少ない信州須坂の地にあって、須坂聖書教会は聖書に聴き聖書に生きようとする、しぶとさをもった教会なのかもしれません。
昨年初めに突如起きたコロナ禍では、「できないことに進むのではなく、できることを考え最善を尽くしていこう」と役員たちも知恵を尽くし、オンライン礼拝を併用して会堂礼拝が続けられました。感染予防のために礼拝を三部制にし、時間も1時間以内にして対応してきたのですが、これが現在では新しいかたちに収まっていきそうです。「礼拝も、説教も時間が短くなって、分かりやすくなって、よかったです」。「それはよかった。ありがとう!」と動じず笑顔で返せるほどに牧師もしぶとくなってきたようです。実際に、試練の中で皆がより熱心にみことばを求めて集うようになりました。時短のおかげか、新来者や久しぶりの方の姿をよく見かけるようになった気がします。結果、年間標語として掲げた「豊かな教会をめざして」(ローマ12章15節)通りの主にある豊かさあふれる年となりました。当教会は開拓から30年を経てまだ道半ばの若い教会です。主にあって次世代の者たちがよく育ち、足運ぶようになった人々が続けてつながり、信仰が育まれるように、お祈りください。