日本とアジアと世界に仕える Japan Alliance Christ Church
日本同盟基督教団 教団事務所 

信頼し委ねる 出版局長 山口陽一

信頼し委ねる
出版局長 山口陽一(派遣教師・東京基督教大学学長)

「多くの証人たちの前で私から聞いたことを、ほかの人にも教える力のある信頼できる人たちに委ねなさい。」(Ⅱテモテ2章2節)

この1年、総合出版部の丁寧な働きを出版局長として見させていただき感謝しています。東京基督教大学では半数の学生が寮に戻り、半数は自宅で、対面とオンラインで学び、感染対策を徹底しながら「新しい日常」を過ごしています。
教団理事会での近年の課題に「次世代を担う教職者の育成」があります。東京基督教大学でもこの課題を担っていますので、このことについて、みことばから学びたいと思います。
パウロは、自分で見つけて育てたテモテに後継者の育成を委ねています。パウロはテモテに「多くの証人たちの前で」、すなわち教会において教え、任命しました。そこにはパウロより先に弟子になった人々、パウロから福音を聴いた人々もいたでしょう。テモテはそのような世代を越えた教会の交わりの中で福音を受け取りました。
パウロは成熟したテモテに福音を委ねるだけでなく、彼が「ほかの人にも教える力のある信頼できる人たちに委ねる」ことを期待しています。「信頼できる人に委ねる」ことは殉教を前にしたパウロの切実な願いでした。
パウロは「走るべき道のりを走り終え、信仰を守り通」そうとしています(Ⅱテモテ4章7節)。私たちはここから大切なことを学びます。私たちは前の世代から信頼されて託された福音を生き、信頼できる次の世代に委ねるのです。キリストの教会が地上でキリストのみこころを行うということは、そういうことなのです。
ところで「信頼できる人たち」とはどういう人たちでしょうか。そもそもパウロは、人を信頼するのが得意な人であるとは思いません。伝道旅行から脱落したマルコに対する厳しさなどを見ると、その目に適うのは大変そうです。しかし、「罪人のかしら」であり、「あわれみを受けた先例」(Ⅰテモテ1章15〜16節)と自覚した晩年のパウロは、信頼して委ねることを学んでいました。それは、パウロ自身が、主に「信頼できる」と認めていただいたゆえでしょう。パウロがテモテに与えたさまざまな訓告は、彼の足りない部分を示しているように思います。しかし、パウロはテモテを信頼し、テモテが信頼して委ねることを説くのでした。
委ねることと責任を回避することは別のことです。自分の十字架を負って成熟した奉仕をすることはすばらしいことです。しかし、自分にしか負えないと思い込んではいけません。主は、次の世代の中に「信頼できる人たち」を備えてくださるのです。日本同盟基督教団は、信頼し委ねることに長けた教団であると思います。松原湖や浜名湖のバイブルキャンプでの青少年の育成には定評があり、理事に65歳定年を設け、青少年局ではDS(同盟青年)のための諸企画、DS Camp Online、DSChristmas、DS Students 、DSLive を続々と実施して、教団を挙げて青年宣教と「次世代を担う教会教職者の育成」に力を尽くしています。
東京基督教大学にはキリストへの献身を志す若い献身者が世界から集まってきます。高校から入学する若者たちの成長はまことに楽しみです。中から5人程が3年次からの教会教職課程に進みます。ここには他大学の卒業生や社会人が編入し、大学院から入学する人もいます。
一方、信徒としての献身を大切にし、ユース・スタディーズ専攻では青少年に寄り添う働き人を育てています。現在、学生182人中22人が日本同盟基督教団所属です。教師候補者は北海道聖書学院1人、東京基督教大学8人、聖契神学校1人、神戸改革派神学校3人、その他の教会スタッフなど8人がいます(4月現在)。これらが近い将来の伝道師、牧師です。『祈りのネットワーク』でお祈りください。

Print Friendly, PDF & Email