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日本同盟基督教団 教団事務所 

コロナ禍におけるメンタルケア(第1回)

コロナ禍におけるメンタルケア(第1回)
森田悦弘(蛍池聖書教会牧師)

コロナ禍が始まって2年以上が経ちます。当初はどこでも熱心に予防的対応が取られていたと思います。すなわち、感染を防ぐ様々な措置を知恵を絞って取ってみること。それらの措置は大きな効果がありました。しかし、最近、都市部では今日の感染者が何千人という数字を当たり前のように毎日目にしていますと予防以外の様々な対応が求められているように思います。本稿においては医療のことは専門家に任せておいて、メンタルケアについて記したいと思います。
メンタルケアで特に見る必要があるのは「感情」です。メンタルケアとは「感情のバランスを取ること」と言えます。なお、想定していますのは今、メンタル面に関して何等かの対応、対処の必要性を感じている方ですので問題を感じていなければ読み過ごしていただいて構いません。

①感情は起こって当たり前です。
感情、特に不安や鬱といった否定的な感情はそれが出てくる理由があります。言わば警報装置のようなものです。ですからそういった感情が起こった時にはまず起こって当然であるという受け止めが必要です。「どうしたらそのような感情を持たないようになるか?」ではなく、「何が自分にそのような感情を持たせているのだろうか?」と自分の気持ちに気づけると少し落ち着きを取り戻せると思います。さらに進んで「不安になるのも当然だな」と受け止め、今、自分にできることをすることでさらに落ち着いてくると思います。信仰者にとって、それが「悔い改め」のきっかけになる場合があるかもしれません。

②感情は大きな力を持っています。
主イエスのために死ぬ覚悟のできていたペテロが数時間後には主イエスを「知らない。会ったこともない人だ」と否認したのはどうしてでしょうか?不安な感情の特徴にコントロールできなくなるということがあります。最初の問いかけ、2度目、3度目と続く中で彼は状況をコントロールできなくなり、巨大な恐怖感に襲われたのです。このように否定的な感情は大きな力を持っているので、感情への対処の仕方を誤ると大きなトラブルが起こることもあります。
不安と鬱の2つが心の問題や病の大部分の領域を占めます。コロナ禍では特に不安の感情が大きいでしょう。不安にも内因性のものと外因性のものがあります。不安を起こすような病気や症状(例えば低血糖症)があります。この場合は早く、専門医に診ていただくことが必要です。外因性、つまり不安を起こさせるものが分かっているのであれば、それに対する適切な対処が必要です。特に不安はからだに出やすいので、からだから不安を和らげることができます。次回は気持ちを和らげるスキルについて紹介したいと思います。

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