日本とアジアと世界に仕える Japan Alliance Christ Church
日本同盟基督教団 教団事務所 

救霊の情熱

救霊の情熱

理事長 廣瀬 薫

「神は、すべての人が救われて、真理を知るようになることを望んでおられます。」Ⅰテモテ2章4節

先日、日本のプロテスタント教会では大きな他教団の方が、「去年の教勢データで、初めて受洗者数が教会数を下回った」と教えてくださいました。つまり、約320の教会数に対して、受洗者数が約310と、教会数を下回ったのは初めてだという危機感を分かち合ってくださったのです。その時私は、「日本同盟基督教団も受洗者数は低下傾向にあるが、まだまだ教会数を下回るようではない」と答えました。同盟基督教団の状況は、日本のキリスト教会の中では、ずっと良い方だと思っていたのです。

しかし伝道局長にその話を分かち合ったら、すぐにデータを送ってくれました。それが文末のグラフです。教会数は239、受洗者数は285です。400を超えていた頃(その頃の教会数は今より少なかった)から、長期下降傾向にあります。昔のギャグに、「人の振り見て我が振り直せ」をもじって「人の不利見て我が不利忘る」というのがあったのを思い出しました。このグラフを延長すれば、受洗者数が教会数を下回るのは、正に我が事だったのです。

戦後、日本の教会は「一千万救霊」を掲げていた時代がありました。今、同盟基督教団は「一億二千万宣教」を掲げています。「救霊」の数字ではなく「宣教」が普く行き渡ることを掲げているのは、全く聖書的です。同盟基督教団の「宣教協力理念」3ー5に、「宣教の目的は、全ての人に福音を伝え、主イエス・キリストの救いにあずかった人々によって教会を形成し、神の国の完成を目指して、伝道と社会的責任を果たすことである」とあるのは的を射ています。

しかしだからといって、「救霊」の実を度外視してよいわけではありません。聖書は、父なる神さまは「すべての人が救われて、真理を知るようになることを望んでおられます」と教えているからです。今、日本のクリスチャン人口は、減少に転じつつあります。それでいいのだ、とか、現実にそうであるのは仕方がないので、減少に合わせて教会の統廃合や閉鎖の対処を用意すべきだという意見がキリスト教会内に広くあります。しかしむしろ、「救霊」の停滞は主のみこころにかなわない状況なのだと受け止めたいのです。

私たちが大切に継承共有している「フランソン精神」(「宣教協力理念」4ー8)の⑵は「未伝地に向かった救霊の情熱」です。私たちはこの新年を、「救霊の情熱」に満たされてスタートしましょう。例えば昨年今年、鹿児島県、三重県、徳島県と、次々開拓伝道が進展しています。その前線で担われている「救霊の情熱」を共有したいのです。今年、青年宣教大会も開催されます。「救霊」を、それが主のみこころにかなうことであるがゆえに、共に祈り求めて行きましょう。現実の傾向に悲観や諦観を抱くよりも、みこころが指し示す方向に自らの目指す方向を合わせたいと願います。みこころにかなう祈りは、主ご自身によって必ず答えられます。私たちにはできなくでも、「私を強くしてくださる方によって、私はどんなことでもできるのです」(ピリピ4章13節)とある通りです。私たちが誰でもまずできることは、みこころにかなわない現状を見て、自らの不足を悔い改めることです。主は「救霊」の実現を用意してくださっています。そこに私たちが用いられて喜びを経験することを期待しつつ、一年の歩みを信仰をもって始めようと思います。

Print Friendly, PDF & Email