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日本同盟基督教団 教団事務所 

宣教としての事務管理を考える⑦

宣教としての事務管理を考える⑦
献金袋課税問題
河野優(法人事務主事)

みなさんの教会では「献金袋」を使用しているでしょうか。教団事務所では献金袋を販売しており、定期的に購入される教会もあることから、多くの教会で使用されているかと思います。
この献金袋が「印紙税法」による課税文書に当たるとして問題になり、議論となった事例があったことをご存知でしょうか。
○献金袋が課税対象とされた事案の概要
日本キリスト教連合会(日キ連)が2000年3月8日に開催した「献金袋と印紙税に関するシンポジウム」について報じたクリスチャン新聞の記事から事案の概要を確認してみましょう。
「問題の発端は1999年8月、日本基督教団九州教区のある教会に所轄税務署による源泉所得税の調査があった際、月定献金袋を目にした調査官が「印紙税の課税文書(受領の事実を連続的に記入する通帳)に該当する」と指摘。過去3年間分の過怠税を課された。このため同教団では国税局と交渉を重ねて対応を検討し、印紙税法違反と見なされない書式の新しい献金袋を製作、諸教会に推奨している。」( 以上、クリスチャン新聞2000年3月19日号より抜粋)
○同盟基督教団の対応策
この問題を受けて、私たち同盟基督教団は2000年3月20日付で財務部より「献金袋」に対する印紙税課税問題についてと題する文書を諸教会宛に発行し、「私たちの対応策」として次の通り述べています。
「この問題は、それ自体は小さな問題であるかもしれません。課税の法的根拠も一見妥当であるかのように見えますが、決して看過すべきことではないと思います。これを契機に、将来「信教の自由」を妨げる足がかりとなるやもしれず、憂慮す
るところであります。
私たちは「献金袋はキリスト教会における宗教上の伝統的な慣習であり、純粋な宗教行為」であって印紙税法上の課税文書ではないと考えます。それぞれの教会は、従来通りの方法で献金を取り扱われることをおすすめします。」(以上、同教団文書より抜粋)

○私ならどうするか
これまで事案の概要と当事者の対応、そして私たち同盟基督教団の対応を見てきました。ここで、私ならどうするかを考えてみます。
まず、税務署から違反を指摘されたことで慌てふためくことでしょう。急いで教団事務所に問い合わせ、税理士などの専門家に助力を仰ぎ、法律に違反しないためにどうすれば良いのかを考え、対策を講じることでしょう。
つまり、当事者の対応と同じ道をたどるであろうと思うのです。皆さんはいかがでしょうか。
法人実務でしばしば参照する教会事務に関する本でも、この件については「課税対象にならないための方法」が説明されています。
私たちはこの世に生きる以上、その地域のルールに従う必要があり、教会もまた同様です。法律に違反するようなことがあれば改める必要があるでしょう。
しかしながら、宣教としての事務管理を考える時、単に法令遵守ができていればそれだけで良いのかと思うのです。
今回の事例において、当事者の対応を批判するものではありませんが、同盟基督教団の対応策がよりふさわしいと考えています。
献金袋に金額を記入することは、当人が主にこれだけのものをささげますという信仰の表明、行いと言えるでしょう。
事柄を一般的な視点から正確に把握し、同時に問われている問題の本質を聖書から語ること、それはまさに教会の事務管理が宣教そのものであることの証しではないでしょうか。

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