日本とアジアと世界に仕える Japan Alliance Christ Church
日本同盟基督教団 教団事務所 

新式文の解説⑤ 婚約式と結婚式

新式文の解説⑤ 婚約式と結婚式
式文委員 青木義紀(和泉福音教会牧師)

冠婚葬祭は、日本人が宗教や信仰に触れる貴重な機会です。とくに結婚式は、神が創造のはじめに制定された偉大な奥義で、愛といのちに関わり、キリストと教会の関係を指し示す重要なものです。今回は、婚約式と結婚式について、新式文の内容をご紹介します。

1 婚約式
婚約式は、行う人と行わない人がいるので、その判断は当事者及び教師に任せるとした上で、必要な場合を想定して用意しました。
聖書の言葉は、「愛」に関するみことばを中心に選びました。そこには、結婚を約束する2人が、この世の人間的な愛で結ばれるのではなく、神の愛によって結ばれ、神の愛で互いに愛し合うことを確認する意図があります。また婚約期間中は誘惑も伴うので、聖潔を保つことや、誘惑を退けて御霊に満たされて歩むことを奨める箇所も選択できるように挙げています。
式辞の前の祈りでは、2人の出会いを実現させた摂理の主に感謝し、婚約に至る神の導きに思いを馳せます。そして2人に婚約の志を与えてくださった主に感謝と賛美をささげ、真実な誓約を行うことができるよう神に祈り求めます。
式辞では、結婚と婚約の違いを明確にし、両者を混同せずに誓約できるよう配慮しました。そして、結婚に至る日まで、「神の求める純潔と礼節を守り」、「互いの愛と理解を深め」、「信仰を高め合う交際」をするよう明示します。また参列者たちにも証人として参加してもらうよう促し、2人のために祈りと支えを求めます。
誓約では、この婚約が主のみこころであることを認めること、結婚の日まで2人の交わりを神の、みこころに沿ってきよく保つこと、聖書に従って互いの愛と理解を深めること、結婚に向けて誠実に準備することが問われます。これについて、神と人との前で誓約してもらうことになります。
誓約後の祈りでは、これまでの導きに感謝し、誓約した内容を誠実に果たすことができるよう神の助けを求めます。また2人の家族や友人、参列者たちが2人を助け、とりなし続けることができるようにも祈ります。

2 結婚式
新式文は、現行式文を継承して、各項目の冒頭に注意事項等を記した但し書きを付しています。結婚式の式文には特に丁寧な但し書きがあり、司式する教師の便宜に資するよう配慮しています。
冒頭の祈祷では、2人の結婚が神の計画と導きの下にあることを覚え、式の祝福とこれから始まる2人の生活の祝福を求めます。
式辞では、創造にまで遡る結婚の起源と、完成にまで至る結婚の本質に触れ、真実な誓約がなされることを促します。また式辞の中で、列席者に異議の有無を問いますが、これが形骸化(けいがいか)しないよう配慮し、もし異議が申し立てられた場合の具体的な対応についても記しました。
聖書箇所は、聖書の中にある「夫に対する教え」と「妻に対する教え」を網羅しています。
一部を選んで読むこともできますし、すべてを読むこともできるようにしました。
誓約の問いは、従来、新郎に1つ、新婦に1つの問いでした(実質2つの問いですが、合わせて誓約するかたちでした)。これを両者2つずつとしました。1つは、この結婚が神のみむねによるものであることを確信するかという問いです。もう1つは、きよい家庭をつくり、夫(妻)としての分を果し、相手を「愛し、敬い、慰め、助けて」、どんな時も「堅く節操を守ることを約束」するかという問いです。どちらも現行式文にあるものですが、一つひとつに答えることで、それぞれの問いにきちんと向き合って、内実の伴った誓いができるよう配慮しました。
誓約後の祈りは、主の祝福への感謝と、新たな2人の歩みの祝福と守りを求める内容です。また単に2人だけの祝福で終わることなく、その祝福が2人からあふれて隣人を豊かに潤すものとなるようにという願いを加えました。

むすびにかえて
新式文作成にあたり、委員会では改めて現行式文を読み直し、よく吟味しました。そこで気付いたことは、現行式文が実によく練られているということでした。重要な要素を網羅しつつ、実に簡潔にまとめられています。結婚の式文を新しくするに際し、正直、大幅な変更や抜本的な改訂はありません。むしろ、現行式文の良き伝統を継承し、それをより生かすために多少手を加えた程度です。改めて両者を見比べていただき、皆さまからのアドバイスやご意見を頂ければと思っています。

Print Friendly, PDF & Email