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新式文の解説⑥ 葬式

新式文の解説⑥
葬式
式文委員 青木義紀(和泉福音教会牧師)

葬式は、人間が死を最も身近に感じる場であり、死に備える重要な契機となります。それは、信仰を持っている者にとっては大きな慰めとなり、信仰を持たぬ者にとっては、死を超えたいのちや慰めに触れる貴重な機会です。その意味で、葬式で使用される式文は重要です。今回は、葬式に関する新式文の特徴を紹介します。

1 臨終の祈り
召天の報を受けたら、教師は直ちに故人のもとに向かい、遺族に哀悼の意を表して祈りをささげます。現行式文では、このことが「納棺式」の但し書きに記されるのみでしたが、新式文では現場の必要に応える意図から独立した一項目とし、聖書朗読と祈りの言葉を用意しました。ここから一連の葬式が始まるので、主の助けと導きの内にすべての葬式が進むよう祈ることを加えました。

2 納棺式
納棺式は、基本的に従来の式文を踏襲しています。しかし現行式文には「式辞」がなかったので、式辞をもうけて納棺式の意味と目的を明確にしました。

3  前夜式
前夜式は、葬式に参列できない人のために行われることが多いですが、省略することもできます。通夜と誤解される傾向が強いため、「故人の供養や死者を守るために行われるのではない」ことを明確にしました。形式にとらわれる必要はなく、神のことばによって遺族を慰め励ますことを目的としています。

4 葬式
葬式の目的は、以下の3点にあることを明確にしました。⑴「故人の生涯を支配された神をほめたたえ」ること。⑵「故人の遺体を葬」ること。⑶「地上に残された者を慰める」こと。そのため司式者には、異教的な慣習を排し、人間的な慰めではなく神の慰めが支配するよう配慮を求めています。またキリスト教葬式の意味と目的を遺族や列席者によく理解してもらい、キリスト教信仰に反しない範囲で、故人と遺族の意向をよく反映させるよう呼び掛けています。

5 火葬前式
火葬前式は、地上における故人との別れと肉体が朽ちて土に帰ることを強烈に印象づけられる時です。別れ惜しい遺族の気持ちを汲み取りつつ、十分に時間を取って配慮すると同時に、みことばと祈りによって天に希望をつなぎ、遺族を慰め、励まし、主にあって力づけることを意図しました。

6 埋葬式(納骨式)
埋葬式は、遺族や教会と相談し、適切な日時を選んで行われます。当日は、墓に供え物が置かれたり、遺骨に向かって拝礼行為がなされたりしないよう注意し、埋葬式の意味をよく説明して、遺族に理解を求めることを促します。また遺族の悲しみに寄り添い、福音がもたらす慰めと希望が式全体を通して参列者に届くよう配慮します。

7 記念会
記念会は、故人が召天した後、遺族の希望に応じて日を定めて行います。親族・友人・知人等を招き、故人の思い出を語り合い、遺族と参加者がみことばによる慰めと希望を得ることを目的とします。

8 墓前礼拝
墓前礼拝の式文は、イースターや召天者記念礼拝などを想定して用意しましたが、それ以外でも適宜使用できるよう配慮しました。
全体的に新式文では、以前にもまして具体的な状況に対応できるよう配慮しました。とくに多くの祈りにおいて、「信仰者の場合」、「未信者の場合」、「子どもの場合」、「自死・不慮の死の場合」など、それぞれに対応できる祈りを用意しました。

むすびにかえて
全体的に注意したことは、遺族や参列者を考慮し、その悲しみをよく理解した上で寄り添う姿勢を忘れないことです。しかし、遺族や参列者に配慮するあまり、人間的な慰めに陥って、福音が歪められたり、神のことばから逸脱したりしては元も子もありません。遺族や参列者が、変わることのない主の慰めと励ましに生きることができるように細心の注意が必要です。
第一次草案を発行し、すでにいくつか有益な意見や反応をいただき、改善の必要を感じています。諸先生方や信徒の皆さまの知恵や助けをいただき、さらに良いものを整えたいと考えています。皆さまのご協力をよろしくお願いいたします。

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