日本とアジアと世界に仕える Japan Alliance Christ Church
日本同盟基督教団 教団事務所 

日ごとに新しい糧をくださる神さま 信徒理事 近藤千晶

日ごとに新しい糧をくださる神さま

信徒理事 近藤千晶(新船橋キリスト教会教会員)

「私たちの日ごとの糧を、今日もお与えください。」(マタイ6章11節)

私の所属する新船橋キリスト教会では、2種類の取り組みでフードロスの削減と地域の方々への食料支援を行っています。ここではそのうちのひとつ、フードパントリーについて触れさせていただきます。
私たちは月1回、世界的なフードバンク組織、セカンドハーベストジャパン(2HJ)の埼玉の拠点で食品を受け取り、車で教会に持ち帰って支援を必要とされている方々に分配します。毎回パンや野菜、果物、インスタントラーメン、お菓子、調味料、レトルト食品、冷凍食品など10品目以上を世帯人数に合わせて配布しています。立ち上げから2年半経った現在、約30世帯100人の方々が住所や名前、家族構成などの個人情報を登録し、食品を受け取っておられます。
この取り組みの良いところは、まだ食べられるにもかかわらず何らかの理由で廃棄されようとしている食品を、廃棄せずに必要としている方々に届けることによって、フードロスを削減すると同時に貧困世帯を支援できるというものですが、それだけではありません。食品を提供する企業は、社会貢献とともに食品の廃棄にかかる手間やコストを削減でき、受け取る側も、フードロス削減に協力することで支援を受けるという負い目なく食品を受け取ることができます。
そしてこの取り組みは、私たちにも多くのメリットをもたらします。地域に住む方々と繋がり、様々な困難を抱えたご家庭それぞれの事情を詳しく知ることができるだけでなく、食品が本当に必要とされる方々の手に届き、お役に立ったことを、実際に皆さんの顔を見て、言葉を交わし合いながら確認できるのです。月に1度、顔を合わせるあの方、この方。困りごとや悩みを話して帰っていかれる方、毎月小さいお子さんを連れて楽しみにして来られる方。子どもたちが成長していく様子も見ることができます。
冒頭の「主の祈り」では、4番目に「私たちの日ごとの糧を、今日もお与えください」と、日々の食事のことが重要な問題として取り扱われています。それほどに「毎日食べていけるかどうか」は私たちにとって一大事です。しかしこの重大さを、私たちはしばしば忘れてしまいがちです。
かつて私は、アフリカのケニアでエイズ孤児院を訪問したことがあります。幼児から小学校中学年までの子どもが20 人ほど、集団生活をしていましたが、どの子も孤児院にありがちな暗いイメージとはかけ離れた明るい、満ち足りた笑顔でした。「親を亡くした子どもたちが、なぜこれほど楽しげに暮らせるのでしょう?」とスタッフに尋ねると、この施設での暮らしは彼らが人生で初めて経験する「明日の食べ物を心配しなくてもいい生活」だから、との答えが返ってきました。1日1食もままならない人は、ケニアでは珍しくありません。胃袋が満たされて初めて心が満たされる、我が身を振り返っても十分納得できる説明でした。
「衣食足りて礼節を知る」ならぬ「衣食足りて主の御名を賛美する」タイプの私は、我が身を恥じ入るばかりですが、神さまはそんな私の弱さもご存知です。今日も豊かな食卓、豊かな生活、あらゆる良きものをもって私を支えてくださいます。この物質的恵みに支えられて初めて、私はみことばの糧を求めるのだろうなあ、とまた深く恥じているのですが…。
この世界の全てを造られ、悠久の時を支配しておられる神さまは、同時に私たちの小さな生活をも顧みて、日々の食卓を満たしてくださいます。そのことを思う時、主に知られていることはなんと大きな恵みかと感じます。毎食、同じ食卓を囲んでいると感じられるほどに近しい距離で私たちを支えてくださる神さまに、深く感謝いたします。

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