日本とアジアと世界に仕える Japan Alliance Christ Church
日本同盟基督教団 教団事務所 

私たちにあるものを 青少年局長 山本陽一郎

私たちにあるものを
青少年局長 山本陽一郎(多治見中央キリスト教会牧師)

「しかし、聖霊があなたの上に臨むとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリアの全土、さらに地の果てまで、わたしの証人となります。」(使徒の働き1章8節)
このページを読んでくださっている皆さまの教会では、新型コロナウイルスのパンデミックの中、どのように対応してこられたでしょうか。きっとさまざまなご苦労があったことと思います。新しい取り組みにより、可能性が大きく広がったこともあったでしょう。しかし、戸惑いや焦り、苦しみ、悲しみも、多くの方が経験されてきたのではないでしょうか。不慣れな作業、正解がすぐに見いだせないこと、止まったことや失ったもの・・・。私自身も、会堂に誰もいなくなった春は忘れられません。
2千年前、ガリラヤの地をイエス・キリストと行き巡っていた弟子たちは、エルサレムでの主の十字架の後、恐れと喪失を、そして小さくない挫折を知り、足が止まりました。
ところが、そんな彼らが再び動き出したのが、イエスさまの復活の出来事とペンテコステの出来事でした。イエスさまのお約束のとおり、聖霊が臨まれたとき、ついこの間まで戸に鍵をかけていた人々は、福音を力強く伝えていく証人へと変えられ、世界へと遣わされて行ったのです。
5月にお茶の水で開かれた第16回特別会議は、個人的にも大変印象に残るときでした。理事・部長・委員長たちが全国から集まって、久しぶりに行われた対面での有意義な会議。日本同盟基督教団の宣教論のこれまでを確認し、これからに向けて具体的かつ実際的な方策の提言がなされました。とても心燃やされ、刺激を受けました。教師育成への情熱も分かち合われました。さまざまな課題をも見つめながら、参加者が宣教について考え、「こんなことができるのではないか」と、時間が足りないほど熱心に生き生きと語り合っている姿を見ながら、心に感動が広がってくるのをおぼえました。
聖霊は私たち教会に、日本同盟基督教団に働かれています。
単に状況が変わったから動き出そうというのではなく、聖霊の力によってこそ、私たちは立ち上がることができるのだとあらためて思わされました。そして、あのときのあの苦しみの中でも、聖霊は「弱い私たちを助けて」「ことばにならないうめきをもって、とりなして」(ローマ8章26節)くださっていたのだと。
大災害、コロナ禍、戦争。人々は疲弊し、生きづらさを感じ、将来に希望が見いだせずに過ごしています。もういちいち説明する必要がないほど、困難な時代です。
私たち教会はこの時代にあって何をすべきなのでしょうか。
さまざまな必要が叫ばれます。しかし、イエスさまがまず使徒たちにお命じになったことは、福音の宣教でした。聖霊に押し出され、あらゆる領域の人々に主イエス・キリストの十字架と復活を宣べ伝えなさいということでした。
聖霊はこの時代に生きる私たちにも、ことばだけでなく自分たちの存在そのものをとおして、キリストの証人として遣わされていこう、と励ましてくださいます。福音はあらゆる民族を、歴史を、世界を動かし、また私たち自身をも励まして、主とともに、隣人とともに生きる幸いに生かすからです。
私たちの手にあるものは少しかもしれません。日本同盟基督教団にも、足りないものはいろいろとあるかもしれません。しかし、私たちには何よりもイエス・キリストの福音があります。
「金銀は私にはない。しかし、私にあるものをあげよう。ナザレのイエス・キリストの名によって立ち上がり、歩きなさい。」(使徒3章6節)

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