日本とアジアと世界に仕える Japan Alliance Christ Church
日本同盟基督教団 教団事務所 

教会から離れる子どもたち 教育局長 畑中洋人

教会から離れる子どもたち
教育局長 畑中洋人(石神井福音教会牧師)

「ですから、すべての汚れやあふれる悪を捨て去り、心に植えつけられたみことばを素直に受け入れなさい。みことばは、あなたがたのたましいを救うことができます。」(ヤコブ1章21節)

今年の6月にアジア福音同盟の主催でD6ファミリーカンファレンスがオンラインで開催されました。すべての講演がアジア各国の同時通訳付きという画期的なものでした。その中で私は「クリスチャン両親と信仰・教会から離れる子どもたち」(講師キャロル・バーニール)の分科会に出席しました。別の方の講演で、教会に集っていた子どもたちの3分の2は教会から離れてしまっているという報告がありました。若者たちの教会離れは、アジア全体そして恐らく世界の多くの教会で起きているのです。分科会は同時に6つ開催されていましたが、日本からの参加者の大半が「教会から離れる子どもたち」を選んでいたのが印象的でした。
講演は、ある1人の女の子についての話から始まりました。その子の父親は牧師で幼い時から教会学校に通い、毎夏バイブルキャンプに参加し、やがてキャンプで教えるようになり、15歳になると仲間と教会を回って賛美をしていました。その子が10代後半になると牧師と親に「私はあなたの神を信じていません」と言って無神論者になったのです。大学ではクリスチャンに信仰から離れさせようと疑問を投げかけ、無神論の宣教師のようになりました。講師は言いました。「これは私のことです」。「多くのキリスト者はこれを聞くと、親の信仰に問題があったと考えるでしょう。しかし私の親は謙遜で模範的なクリスチャンで、家庭は愛に満ちていました。このような家庭に育っても、子どもは無神論者になりました」。
私たちは子どもたちが教会を離れるのは、親もしくは教会に問題があると考えるのではないでしょうか。教会から離れた子どもたちを持つ親は自分を責め、また子どもたちを育てられなかった教会は自らを悔います。その結果、今いる子どもたちを失ってはならないと次世代教育に力を入れます。もちろん大事なことです。しかし私たちは無意識のうちに教会を離れた子どもたちに、失敗作あるいはこの世に敗北した人たちというレッテルをはってしまっているように思います。私には3人の子どもがいます。2人は受洗しましたが3人とも教会生活から離れています。これを聞かれると皆さんの中で私の信仰、また親としての評価は一気に落ちることでしょう。そんな私が教団の理事、ましてや教育局長をしているのです。私自身「主よ、私のような者がよいのでしょうか」といつも思わされています。また子どもたちが教会を離れると、子どもたちのことを祈祷課題にあげることを躊躇(ちゅうちょ)してしまう自分がいます。教会を離れた子どもたちも、自分たちがどのように見られているかを知っています。
この講師は恵みによって教会に戻ってきました。彼女は自分自身の体験からこう証しします。「みことばには足があるのです」。彼女は教会を離れる前にみことばと聖書の価値観を植えつけられていたことによって、戻って来られたということでした。実は教会から離れた子どもたちは、教会に戻ってくることが多いというデータがあるようです。彼女はこう締めくくりました。「すべての放蕩息子には希望があります」。教会から子どもたちが離れると私たちは敗北したと考えます。しかしそうではなく私たちは、みことばを植えつけられている彼らに希望を抱き続けるのです。そして主が導いてくださるようにと彼らのために祈り、彼らも教会の希望の光となる可能性をもつ一人ひとりであると期待して待つのです。と同時に、今教会に集う子どもたちの心にみことばを植えつけることがいかに重要であるかを再認識させられます。

Print Friendly, PDF & Email