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日本同盟基督教団 教団事務所 

ヨナ書から見えてくる神の教育法 教育局長 畑中洋人

ヨナ書から見えてくる神の教育法
教育局長 畑中洋人(石神井福音教会牧師)

 

「主が大風を海に吹きつけられ…主は大きな魚を備え…主は一本の唐胡麻を備え…神は一匹の虫を備え…神は焼けつくような東風を備えられた」(ヨナ1章4、17、4章6〜8節より抜粋)

昨春から教育局を担当することになりました。総務畑にしか所属してこなかった私には新しい経験となり、改めて各種研修会、テキスト、また有益な情報などが多くの先生方のご尽力によって提供されていることに感謝しました。教団ホームページの「教育局」をクリックするとご覧いただけますので、ぜひご活用ください。教会において「教育」は重要な働きの1つですが、人を育てることは容易ではありません。今回は神がどのようにして人を育てられるのかを、ヨナ書から教えられたいと思います。
1 忍耐
教師は神で生徒はヨナ、教育目標は忠実な預言者の育成、入学資格は預言者として召されていることです。あわれみと恵みによって選ばれたヨナでしたが、入学早々逃げ出してしまいました。「退学」でもおかしくないところですが、そうなりませんでした。神から逃れようとしたヨナは、タルシシュ行きの船に乗り込み脱出に成功します。ここから神のレッスンが始まります。神がまず備えられたのは大風でした。船上ではだれのせいでわざわいがふりかかったのかを特定するためくじ引きが行われました。当然のようにくじはヨナに当たります。それでもヨナは神に悔い改めず、ついには人々に自分自身を海に投げ込ませました。自らを預言者失格としたヨナ。しかしそのヨナに神は大きな魚を備えられました。こうしてヨナは預言者には欠かせない神の主権とその力を学び、神のみこころに従う者へと変えられたのです。
2 実践
ヨナは主に命じられた通りニネベに行き、主のことばを伝えました。第2レッスンは実地訓練でした。敵地で「ニネベは滅びる」と叫ぶには大変な勇気が必要です。しかしヨナは逃げ出すことなく、立派にその役目を果たしました。彼の成長ぶりが見えます。その結果、ニネベの人々は、悪の道と、その横暴な行いから立ち返り、神は彼らに下すと言ったわざわいを思い直されました。忠実に主に従ったヨナは、ニネベに救いをもたらしたのです。この経験は、ヨナが預言者として生きていく上でとても大きな学びとなったはずです。これでヨナの教育は終了?いえ、ヨナに対する教育はまだ続きます。
3 矯正
ヨナはふてくされていました。神に従いはしましたが、根本的な課題は未解決だったからです。それがここで露呈します。これまで散々悪を行ってきた人々を簡単に赦してはいけないという思いが彼の内にありました。私たちは神に対して激しく怒ることはないかもしれません。しかし主に従ってはいても、実は心の底で神のなされることに納得していないということがあるかもしれません。神は私たちの内にある隠れた思いも知って関わってくださいます。ヨナは神がニネベを滅ぼすのを見届けようと、仮小屋を作りそこに座り込みました。このやっかいな生徒の不機嫌を直そうと、神は暑さをしのぐための唐胡麻を生えさせ、ヨナもそれを非常に喜びました。ところが神はその翌日、虫を備えその唐胡麻を枯れさせたのです。ヨナは当然のように怒ります。しかしそこから神は、ヨナがずっと引っかかっていたニネベの人々をも赦される「神のあわれみ深さ」を教えられました。
預言者ヨナを育てられる神から多くのことを学ぶことができます。これが神の教育法のすべてではありませんが、いくつかポイントを上げてみたいと思います。
①忍耐して決して見捨てない②ふさわしい時にふさわしい方法を用いる ③生徒の状態を知る ④教え込むのではなく自ら真理を見いだせるよう導く ⑤信頼関係を保つ。そして何よりも、神にとって教えるとは、いわば私たちとの1対1の愛による真剣勝負だということです。

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