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日本同盟基督教団 教団事務所 

社会厚生部・75号 となり人 コロナ禍の中で改めて気付いた事

社会厚生部・75号 となり人
コロナ禍の中で改めて気付いた事
社会厚生部部長 郷津裕(日立福音キリスト教会牧師)

コロナ禍が終息した訳ではないので新しい年もWithコロナの日々は続きますが、2020年は、まさにコロナに始まりコロナで終わった感があります。その中で私が一番感じたのは、信仰者同士であっても分かり合う事がいかに難しいかということです。
実は、私の住む町には超教派の牧師会がありコロナ禍の中でも毎月1回集まり、互いの重荷を分かち合ってきました。丁度、第1波が終了する頃、ある牧師が「役員会から通常の礼拝を継続せずインターネット礼拝を推奨した事は『不信仰だ』と叱られた」と言いました。すると別の牧師が「うちは、まさに逆でインターネット礼拝に切り替えず通常の礼拝を継続していた事を『非常識だ』と役員会から抗議を受けている」と言い、さらに別の牧師が「教団の意向で礼拝堂を閉じたが夫婦2人でこっそり礼拝をしてインターネットで配信をしている」と言いました。
私は、コロナ禍にあって教会内で特別にトラブルを抱えてはいなかったので、同じ信仰者であってもここまで意見や考えが違うのかと驚き、「礼拝」の持ち方で教会内に批判や攻撃が起こる現実に心が痛みました。
第3波が始まる頃、ある集まりで親しい牧師から「福音派の我々がトランプさん以外を推すなんてあり得ないだろう‥」と同意を求められました。そして帰宅後この話を家内に伝えると「自分の意見を何も言わないのは同意したのと同じだ」と怒り、関係のない我が家にさざ波が立ってしまいました。
まさに同じ信仰を持つ者が、みな同じ様に感じ、同じ様な行動をすると思うのは大間違いです。しかも全員が自分の信じる所に従って決断し、行動しているから問題は厄介です。つくづく「分かり合う事は、自然にできる事ではないのだ」と知った2020年でした。
さて、新しい年を迎え今年もコロナ禍の中で正解が出せないまま「教会らしく歩む」ために困難な道を進んで行かざるを得ません。
そんな時、「となり人」として困難を抱えている方、苦悩している方、病の中にある方、助けを必要としている方の傍らに立つためには、自戒を込め、「想像力を働かせて、たとえ自分と違う考えや思いを持っている人もその人なりの最善を尽くしているのだ」と気付いて、その意見にしっかりと耳を傾ける者でありたいとつくづく願わされています。
「愛は寛容であり、愛は親切です。また人をねたみません。愛は自慢せず、高慢になりません」(Ⅰコリント13章4節)

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