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日本同盟基督教団 教団事務所 

シリーズ宣教のDNA 「明日の教団を考える会と各個教会の主体性」

シリーズ宣教のDNA
「明日の教団を考える会と各個教会の主体性」
理事・伝道局長 廣瀬 薫(派遣教師)

「宣教協力理念」は「改訂第7版」です。様々な意見を受けて何度も書き換え、「機構改革にはこれが必須」と考えたので、諦めませんでした。出た異論で印象に残っているのは、「2.同盟基督教団がこれまで出して来た宣言や声明を尊重する」についてです。その具体的内容は3つで、①105周年記念大会(横浜宣言)1996年、②宣教100周年記念大会宣言1991年、③「明日の教団を考える会」声明1993年が挙げられています。初めこの3つは本文に入っていました。しかし③を載せることに異論が出ました。「宣言は全教団で共有されるものだから良いが、声明は性格が違うので載せない方が良い」というご意見でした。成程と思いましたが、先輩の牧師たちが労して作ったものが、無かったことにされるのは良くないと思ったので、本文から外して脚注に落として残しました。
「明日の教団を考える会」をご存知でしょうか。かつて同盟基督教団には「十か年計画」がありました。その終わり頃、計画と実行の成果を総括して評価し、次の時代を切り拓く計画案をまとめる委員会が組織されました。その時並行して、教職歴20年以上の方々が集まって、「宣教協力・聖書信仰・合議制」をおもなテーマにして話し合い、その結果をまとめて出したのが、「明日の教団を考える会」声明です。3つのテーマの内、「宣教について」の部分を「宣教協力理念」に引用して載せています。
恐らく多くの方が、これを一読して驚くのではないかと思います。非常に「各個教会主義」の色合いが濃いからです。同盟基督教団の宣教の特徴を、「各個教会の主体性のうえに立った『宣教協力』である」と規定し、全6項目の内、実に5項目までが「各個教会は」で始まっています。主語は「各個教会」であることが、強く意識された声明です。
今の同盟基督教団は「各個教会主義」ではありません。「同盟」なのか「教団」なのかは、機構改革の初期に、歴史的経緯から「同盟」的な性格を持った「教団」なのだと確認共有され、そのことはいわゆる機構上の「三原則」でも明確です。けれども、教団理念の「三本柱」の一つ「宣教協力」とは、「各個教会の主体性のうえに立った」ものだと、歴史の節目にベテランの教職者たちが集まって確認したことを、「宣教協力理念」が記すように「尊重」することも、忘れてはならないと思っています。声明に同意できなくてもいいのです。しかし先人たちが労して声明を残した歴史は「尊重」すべきであって、無かったことにしてはならないと思います。彼らが願った「明日の教団」とは、正に今の私たちのことです。今の時代は、私たちが「各個教会の主体性」を大切にし、さらに強化して行くことが、改めて大切な課題となっている時だと思っています。今の私たちも「明日の教団」を考えて、様々な営みを積み重ねています。それが、次の世代から尊重され、受け継がれて欲しいと願っています。先人を尊重しつつ、明日の教団に期待しつつ、です。

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